電子基準点は従来の三角点ではなく、電源と電話線を必要とするので場所も異なっている。電子基準点は、図.1のように塔(タワー)、GPSアンテナ,受信機・通信機器で構成されている。タワーは高さ5mのステンレス製、上部にはGPS衛星からの電波を受信するアンテナ、タワー内部には受信機と通信用機器が内蔵されている。ベース台の近くには金属板が埋設されており測量にも利用できる構造である。観測データは電話回線を通じてつくば市の国土地理院に集められ解析処理されている。この結果全国900カ所の電子基準点の位置変動がわかり、日本列島の地殻変動の様子がわかる。
さてこれからお話しするRTK-GPS(Rial Time Kinematic GPS)とは超高精度衛星測位システムのことである。キネマティックとはスタティックに対する言葉で動的という意味をもつ。一言でいうとある場所の位置を数cm程度の精度で決定できる測位システムである。加えて測定時間が非常に短いという長所がある。
2.RTK-GPSの測位システム
図.2 RTK-GPS測位システムの概要
(周回GPS衛星)
(移動局) (電子基準局)
電子基準局では地上約2万kmを周回する複数のGPS衛星から信号(C/Aコード)と搬送波の位相が受信され、電子基準局の位置および位相データが1.5GHzのDMCA無線(Digital Multi Channel Acsess)で一旦山上のDMCA制御局に伝送される。このデータはそこから約20から30kmの範囲で全方位に送信される。移動局では求めようとする場所で、GPS衛星からの信号をGPSアンテナで、電子基準局からのデータを背中に背負った無線機アンテナで受信、携帯の移動局GPS受信機でその点の位置が計算される。